【銀河鉄道の父】門井慶喜
日本を代表する童話作家の宮沢賢治の「父」のお話。直木賞作品で、映画化もされている。
この夏、岩手へ旅行に行くことになり、その前に読んだ小説にも「銀河鉄道の夜」が恋人をつなぐアイテ厶として出てきていたので、俄然、宮沢賢治に興味が出てきたところだった。
国語の教科書に何度も出てくるから、宮沢賢治の作品を目にしたことが無い人の方が少ないと思う。
でも、ちょっと踏み込まなければ、賢治にも父がいた、なんていう当たり前のことにさえ気が付かない。
賢治を、陰に日向に支えていたのが、父政次郎だった。
賢治が病気になれば献身的に看護し、金が無いと聞けば甘い父親だと思いながら送金してやる。家長として厳しく指導し、賢治の一番の理解者でもあった。
そういう父に賢治もなりたかった。
父の話であると同時に、賢治の一生の話でもあるので、「春と修羅」にどんな経緯があったのか、「雨ニモマケズ」がどのように産み出されたのかを知ることができた。
父になりたかった賢治が「おらの、わらす」を生み出していく。賢治の作品まで愛おしくなる話だった。
次は「銀河鉄道の夜」を読んでみよう。